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雨だれを

しばらくぶりの雨。


先月、ソウルに戻って少ししてからの(厄介な)雪以来、
空から降ってきた。


日に日にあたたかさが増してきていて、
それはそれなのだけれど、

去年の夏の酷暑をおもいだして、
少し憂鬱になっていた矢先。


肌寒くなったらなったで、嬉しいことも特には生じない。


雨だれのプレリュード変二長調、
より本物の雨のほうがよほど良いはずだというのに。




日増しにひどいと感じるもの。




隣りと下の部屋から届くよくわからん音達。
なにかをひきずったり、落としているような。
日々、引越しでもしてるんだろうか。
最近は、それが夜中2時、3時、4時まで続く。
本気でどうにかしてしまいそう。


前回の下宿の苦い経験から、慎重にしていたつもりだった。


「新築だから、古いアパートと一緒にしてくれたら困る」

と笑い飛ばした建物のオーナー、
ところ構わずタバコを吸いまくる業者のおっさん達、
本当にアテにならなかった不動産屋・・・痛すぎる三つ巴。


1年契約のしばりがなければすぐにでも引越したい。
と切におもってるわたしに、
誰か(日本人を)紹介してくれ、と顔を合わせるたびにいってくるオーナー。


天井から眉間に水を一滴ずつしたたらせてやりたくなる。
30分おきに。



ともあれ。
かなしいかな、最善の策はやはり引越ししかないか。
ラップ音がすごすぎて、わたしのチャクラが・・・って方向にしようか。
これは意外とまかりとおりそうな気がする。


新しい部屋・・・。
弘大でこの時期だとかなり至難必至。
保証金が戻ってきたら、まだ楽か。
ここらへんが、すでにわたしの極甘なところなんだろう。


新しい学校は、テストも終わってなんとかやってけそうな予感。
絶対に今度こそ逃げないでいてやる。
とおもった途端に、
マジで?と綿菓子のような感情がふってくる。


ほおっておいても、
ひとりでに沈殿したり、
勝手に肌に沁み入ってきてるものもあるのはあるけれど、
圧倒的にハングリー不足。


精神の栄養も、感受の高揚も、
ほおっておいたら、
おもいを馳せる、願うこと自体、滅びてしまいかねない。


数年前にEUを旅行したときも、
おのれの枯れ具合に愕然としたけれど、


生活そのものを動かした今、
身体よりも心がこんなにもついていかないこと、
よろこびを感じさせることがこんなにも易しくないということ、
怒りの矛先、孤独の居場所、
あらゆる遠近の舳先が、どこにも向いていない。
どこへも目指せない。あげられない。


自分の中が空っぽになることが、こんなにもかなしいことだとは
今に知ったわけではない。


かなしみを覚えるだけ、まだいい。
むなしさのまだ先にあるかなしさより、まだましだ。


深く深く癖づいていって、
なにも思いかえすことすらなくなっていって、
ただ、永久なるものがいつか終わるまで待つ。



その静けさには、

まだ恐怖感がともなう。



受け入れるには、わたしはまだ幼稚すぎる。
無意識にでも抵抗をえらぶみたいだ。




だからあがこうと試みるおのれの愚かさに鼓舞されたい。


その場しのぎでも10回くらい笑って、
泣きそうになったら、
はやくひとりになって、お茶を飲んで寝ればいい。


好きな公園をみつけて、
散歩がきらいじゃないことをおもいだして、
好きな色をおもいだして、
自分のわががまの色を自分で変えられることをおもいだして、
たとえ強硬で優柔不断で偽善で嘘がおおくとも、


顔はわすれても像は残るあらゆる優しきものの佇まいをおもいだして、
純粋なもの、美しいもの、尊いものに、
奪われて、砕かれて、
何度も死んだことをおもいだせばいい。



空や水面や深呼吸の存在をおもいだして、



青臭いことが真実だというおもいに
もう一度至ればいい。

by tanta720 | 2011-02-28 02:59 | 韓国 日々 | Comments(0)